600年にわたる変容の歴史を紡ぐ
15世紀、農民の娘であったジャンヌ・ダルクは、イングランドに占領されていたフランス領を奪還せよという「神の声」に導かれ、英仏百年戦争の転機となるオルレアン解放を果たす。そして、宗教裁判によって弱冠19歳で火刑に処され、後年には列聖された──。
魔女狩りのような異端審問や誹謗中傷をのりこえ、史上屈指のヒロインとして聖人になったジャンヌの生涯を、本書では、多様な側面から物語ってゆく。裁判記録、法廷での本人の証言、年代記、書翰など歴史的資料、文学をはじめ、絵画・映画など表象文化に描かれたジャンヌ・ダルク像も網羅し、その実像と象徴的意味に迫る。とりわけ、イエス・キリストの生涯と比較しながら進めてゆく語り口が、比類なき特長だ。
中世ミソジニー社会で戦った「異性装」の少女は、どのように語られてきたか?
フェミニズムの視点とともに読み解き、600年にわたって変容されてきた「人生」を紡ぎあげてゆく、実力派作家による博覧強記のナラティヴ・バイオグラフィー。地図・年表・図版多数収録。
第1章 初めに言(ことば)があった
第2章 天使たちの話しかたと言葉で
第3章 小さな、いえ、ほんのつまらぬこと
第4章 国王の宝
第5章 いったい、この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか
第6章 おとめに降伏せよ
第7章 跳ねる牡鹿
第8章 黒い騎士
第9章 金色のマント
第10章 塔の監獄
第11章 燃えない心臓
第12章 永遠の命
地図:1429年のフランス/1429年のオルレアン/ジャンヌの道程
年表
謝辞
訳者あとがき
索引/注記/資料
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