学生時代、食費を切りつめて通った歌舞伎座三階席からの風景、十七代目勘三郎に頼まれて声色で舞台に立った興奮、六代目歌右衛門のきびしい眼光、十代目三津五郎の粋でいなせな江戸前の芸……十八歳から歌舞伎を見続け七十年。若き日の回想から、忘れじの名優、名舞台まで、「山川静夫の名調子」で綴るエッセイ集。
はじめに
二つの「座」
1 芝居三昧
歌舞伎座のご馳走
三階席の幸せ
声色で楽しむ黙阿弥の舞台
「第一回東宝歌舞伎」の思い出
蘭平三代
ひな鳥の頃
耳で芝居を見る楽しさ
「かべす」のある風景
御名残トドメの『助六』
五代目歌舞伎座開場
戦後の芝居を支えたもの
六代目歌右衛門の眼光
2 惜別にしひがし
十三世仁左衛門折々ばなし
二代目鴈治郎『すしや』の権太
四代目坂田藤十郎の夢
十八代目勘三郎の感性
十代目三津五郎いぶし銀の芸
十二代目團十郎の人格
3 名狂言の力
『勧進帳』の人気
『仮名手本忠臣蔵』大序
『菅原』の梅・松・桜
『魚屋宗五郎』のおはまと宗五郎
『野崎村』大根と奴凧
『鈴ヶ森』の智恵
相撲の芝居
股旅物と『瞼の母』
「怪談物」お化けの正体
「襲名興行」の魔術
水もしたたる濡場『小猿七之助』
「義太夫狂言」糸にのる人、のせる人
「火花散る舞台」とは
『空ヲ刻ム者』の初日を観る
芸に遊ぶ「所作事」
4 〈鼎談〉芝居好き仲間
加藤武・澤村田之助・山川静夫
あとがき
装丁=桂川潤
カバー・扉イラスト=山川静夫
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