うつ病は誰もがなり得る病気であり,現在も100万人を超える人々が病を抱えながら生活している。一方で,社会にはうつ病をどこかタブーのように扱う「雰囲気」が存在し,「無意識」にうつ病の人と距離を置いてしまうことがあるのではないか。
本書は,うつ病の人に対するスティグマ(偏見)という問題に関して,臨床社会心理学的な立場からの実証的研究を積み重ねた成果をまとめたものである。うつ病の人に対して特有のスティグマの存在を明らかにし,その低減のためにより効果的な方策を提案するなど,従来の社会精神医学的研究の限界を超えた知見を示している。
本書を丹念に読み込むことで,研究課題を解決するために数多くの理論や研究法,実験デザインが効果的に用いられる様子に触れることができる。また,研究成果を社会にわかりやすく伝え,うつ病のスティグマの解消に寄与したいという,著者の確固たる意思と願いを感じ取ることができる。
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