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◎「朝日新聞」2020.7.19 《早世の詩人・ブッシュ孝子、死後半世紀経て全作品集 いま語りかける、魂のうた》 ◎カニエ・ナハさん評(「読売新聞」2020.7.4) 《隔たりを越えて繋ぐ言葉》《詩人の真摯な声が、まるでいまイヤホンで、耳もとで囁かれたように間近に聞こえる》 ◎藤井佳之さん評(「北海道新聞」2020.6.27) 《詩に触れることで誰かを想う…死を超えても生き続ける、本当のことだけを語る言葉から》 ◎鷲田清一さん評(朝日新聞「折々のことば」2020.5.27) 《持つ人と持たない人に裂かれた社会。けれども、失ってはじめてそれがいかに希有(けう)のものだったかを知ることがある》 ◎和合亮一さん評(「毎日新聞」2020.5.28) 《病の進行の不安にさいなまれながらも、こんなふうに創作の泉に出合っている姿がある。…読み耽りながら、心の中にせせらぎが生まれているような気がした》 暗やみの中で一人枕をぬらす夜は 息をひそめて 私をよぶ無数の声に耳をすまそう ……夜の闇にこだまする無言のさけび あれはみんなお前の仲間達 暗やみを一人さまよう者達の声 沈黙に一人耐える者達の声 声も出さずに涙する者達の声 ーー本書より 誰でも、年齢を重ねれば危機と呼ぶべき時節に至る。私はそうした日々に彼女の詩に出会った。ブッシュ孝子の言葉と巡り会うことがなければ、今、こうして言葉を紡いでいるかどうかも分からない。書くことすら、どこかで諦めていたかもしれない。私は彼女の言葉に救われたのである。 ーー若松英輔 夜の闇にこだまする無言のさけびーー。若くして病を患い、闘病中にドイツ人青年と結婚した女性が、命を終えるまでの五か月間にノートにつづった詩のことば。かつて河合隼雄氏、神谷美恵子氏が著作で紹介し、多くの読者が復刊を待望するブッシュ孝子の詩集を、未発表の作品も収録し刊行。若松英輔による解説を付す。
レビュー(9件)
大けがをしてうまく歩けないときに、この本を知り読みました。泣けてきそうになりました。若くして亡くなった著者の無念さを思うと言葉もありません。自分はしっかり生きていかなければと思います。