著者は精神分析,精神医学,臨床心理学の3つの領域を縦断しつつ,関係精神分析,解離性障害,トラウマ,脳科学に関する独自の考えを生み出し続けている。本書もいつもながらの軽快な筆致で,読者の知的好奇心を刺激するさまざまなテーマが,これでもかこれでもかと,次々登場する。本書の最大のテーマは「揺らぎ」である。「心はデフォルト状態からして,揺らぐという活動を行っている。」そしておおよそ同じ現象が,分子の世界にも,経済の世界にもある。「揺らぎ」は私たちの思考や関心の垣根を越え,臨床実践と日常生活との垣根を越えるのである。
序文
序章 揺らぎの世界は奥が深い!
第一部 事物は揺らいでいる
第1章 揺らぎの歴史
第2章 揺らぎの世界はランダム性の世界
第3章 揺らぎと「べき乗則」がこの世を支配する
第4章 アトラクターと揺らぎ
第5章 カオス
第二部 脳は揺らいでいる
第6章 脳の揺らぎ(脳波)の発見の歴史
第7章 「神経ダーウィニズム」という揺らぎ理論
第三部 心は揺らいでいる
第8章 心のデフォルト状態としての揺らぎ
第9章 「揺らがない心」と精神分析
第10章 揺らぎと「いい加減」な心
第11章 揺らぎの欠如と発達障害
第12章 失敗──揺らぎが導く必然
第13章 揺らぎと心の臨床
第14章 笑いと揺らぎ
第15章 揺らぎと死生学
第16章 共に揺らぐこと(共振)は人生の目標ではないか
あとがき
索引
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