ホロコーストを生んだ根深いユダヤ人憎悪と排除。その淵源には「キリスト殺し」「キリストを受け入れない固陋な民」「神はイスラエルとの契約を破棄して教会と新たな契約を結んだ」といった観念が、キリスト教の内部に神学的に構造化されているからだ。だがはたして神とイスラエルとの契約は破棄されているのか? 本書は、新約聖書の厳密な釈義と論争史の丹念な追跡によって、キリスト教社会に宿痾のように存在してきた反ユダヤ主義の誤謬を剔抉し、併せてイスラエルの民との契約に発する救済史の新たな捉え直しを迫る労作である。
序 章 キリスト者問題/教会問題としてのユダヤ人問題
--戦後ドイツのキリスト教会における「過去の克服」
第一章 〈排他的対立〉としての〈イスラエルと教会〉
--ローマ九ー一一章の釈義の解釈学的分析(一)
第二章 中間的考察
--ブルトマンとバルトのユダヤ人問題に対する態度の同時代史的考察
第三章 神に選ばれた一つの共同体の二つの形態としての
イスラエルと教会
--ローマ九ー一一の釈義の解釈学的分析(二)
第四章 ボンヘッファーのユダヤ人理解
第五章 〈アウシュヴィッツ以後の神学〉におけるユダヤ人理解
終 章 レオ・ベックに学ぶ
--ユダヤ教とキリスト教の対話
付論1 映画『ショアー』がキリスト教に問いかけるもの
付論2 パレスティナを共通の土地として
--ユダヤ人とパレスティナ人の共存
付論3 ラビ・マゴネットとの対話
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