書くことが物語展開に果たす機能とは
何に書きつけているか、書かれている文の特徴、筆跡、それが一族に継承される様相など、あらゆる角度から「書くこと」について分析。物語を動かしている重要な効果を明らかにする。
日本現存最古の長編物語がもつ、あらたな魅力を解き明かし、従来の音楽物語という括りから解き放つ。
はしがき
『うつほ物語』各巻紹介
登場人物系図
序章 書くことを意識した物語
一 『伊勢物語』
二 『大和物語』
三 『うつほ物語』
四 『源氏物語』
五 『うつほ物語』における物に文字を書くという行為の特異性
第一章 物に書きつくー『うつほ物語』における言語認識
一 物に文字を書く実忠
二 物に文字を書く仲忠
三 実忠と仲忠からの文字を書きつけた贈り物の比較
四 あて宮と仲忠の意思疏通
五 あて宮への求婚からいぬ宮の入内へ
六 『うつほ物語』における言語認識
資料『うつほ物語』における文字が書かれたもの・文字と対になった贈り物一覧
第二章 紙に書きつくー人物関係を構築する文(ふみ)
一 文の遣り取りの有無の判断と人物関係の有無
二 隠蔽される文ー物語を動かす可能性の提示
三 見られ代返される文ー人物関係が再度成立する分岐点
四 見られる文ー人物関係の確認
五 差出人と受取人の特定の重要性ー関係の明確化
六 証明としての文ー保険としての情報開示と「消息」
七 人物関係を可視化する文
第三章 「手本」の作成と〈手〉の相承
一 『うつほ物語』における「手本」
二 『うつほ物語』における〈手〉
三 俊蔭伝来の蔵から出てきた書物と仲忠の〈手〉
四 仲忠が作成する「手本四巻」
五 すれ違う仲忠と藤壺の思惑
第四章 書の継承ー「うつほ」をはじめとした籠りの空間と継承者
一 蔵開
二 女一の宮の懐妊からいぬ宮の産養まで
三 籠る仲忠
四 朱雀帝への進講
五 書の系譜
第五章 清原家の家集進講
一 清原家の書物の進講における春宮
二 朱雀帝によって創られた清原家の書物公開の場
三 菅原道真の献家集と仲忠の家集進講
四 清原家の書物の進講と史実の進講
五 『日本紀』の進講と清原家の家集進講
六 家集進講ー清涼殿にできた籠りの空間
第六章 琴を支える書ー公開の場の論理
一 二つの書の公開と二つの琴の公開
二 時刻表現の偏り
三 香る様が描かれる香り
四 雪と声が作りだす空間と楼
五 琴を支える書
第七章 「清原」家の継承と『うつほ物語』のおわり
一 〈琴〉と書の系譜
二 〈手〉の系譜
三 三つの系譜と継承されていくものの行く末
補遺ー近世・近代の『うつほ物語』の研究
初出一覧
あとがき
索引
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