臨床現場に生かすクライン派精神分析
: イスカ・ザルツバーガー・ウィッテンバーグ/平井正三
●本書はクライン派の精神分析に基づいているが,難しい理論から出発するよりも臨床現場から出発し,そこで役立つ理論を提示しようと試みる。著者はビオンから個人分析を受けており,本書にはビオンの理論や着想が水や空気のように染み渡っている。ビオンの理論を日常感覚の中で把握できる稀有な本。
●目次
監訳者まえがき/謝辞/序文
第一部 関係の諸相
第一章 心理援助者がクライエントとの関係に持ち込む感情
心理援助者の希望に満ちた期待/頼りになる親になるという期待/寛容でありたいという期待/
理解者でありたいという期待/心理援助者の恐れ/過去を探り、掘り下げているのではないかという恐れ/
害を与えるのではないかという恐れ/X線のように見透かしているのではないかという恐れ
第二章 クライエントが関係に持ち込む感情
希望に満ちた期待/苦痛を取り除いてくれるという期待/重荷を背負うことを助けてくれる人を見つけたいという期待/
愛されたいという期待/クライエントが持ち込む恐れ/責められるのではないかという恐れ/
罰せられるのではないかという恐れ/見捨てられるのではないかという恐れ
第三章 転移と逆転移
転移とその心理学的援助への影響/転移の概念/逆転移/
第四章 空想
空想と心理援助者/空想と現実/無意識的空想という概念/体と心のつながり/摂取、投影、内的世界
第五章 愛、憎しみ、葛藤
生得的な欲動の二極性
第六章 相互作用
母親、赤ちゃん、父親/力動的な相互作用/家族/相互作用の図示
第二部 葛藤、不安、防衛
第一章 大人、子ども、乳児にみられる迫害不安とそれに対する防衛
怯えたクライエント/学校恐怖症の事例/迫害不安の乳児におけるルーツ/迫害不安に対する防衛
第二章 大人、子ども、乳児における抑うつ不安とそれに対する防衛
「抑うつ」という言葉の意味/苦悩するクライエント/抑うつ不安の定義/
乳幼児期における抑うつ不安のルーツ/さまざまな抑うつ不安:抑うつの痛みを耐えることができないこと:うつ病/
双子の片方の拒絶/暴行を受けた赤ちゃん/捨てられた赤ちゃん/問題家族/
抑うつ不安に対処するのを困難にしているさまざまな要因
外的要因:早期の喪失体験/とても傷つきやすい母親
内的要因:痛みに耐えられないこと/生まれつき愛と憎しみのバランスが悪いこと/厳格すぎる良心
抑うつ葛藤がうまく乗り越えられたときの産物──他者への思いやり
第三章 喪失と喪の悲しみに関連する不安
さまざまな喪失に対する反応としての喪の悲しみ/喪の悲しみに関するフロイトの見解/
喪の悲しみに関するアブラハムの見解/喪失の内的体験/クライン:喪失に関連する不安の乳児期のルーツ/
関係の終わりを悲しむこと──他の治療者への引き継ぎ/引き継がれた事例/死別/ある未亡人/
喪失に対する反応の例/喪を悲しむことができないこと/非行/ある遺族/機能の喪失について悲しむこと/
若さや人生の喪失を悲しむこと/中年期の喪失に対処し損ねたときにみられる症状/抑うつに陥ること/
アルコール依存症/性的放縦/若い世代との競争/心気症/貪欲さの増大/要約
第四章 賞賛と羨望
羨望の定義/羨望を刺激する外的状況/賞賛と感謝 対 羨望によって台無しにすること/
援助を受け入れられないこと/無意識的羨望の働き/創造的なカップルに対する羨望/
羨望に対する防衛/理想化/価値の引き下げ/混乱と疑念/人の成功を否認する/羨望の投影と傲慢
第三部 洞察を得ることとそれを心理学的援助関係の中で生かすこと
はじめに
第一章 洞察を得る
二つの異なるアプローチの一例/相手に合った設定を提供すること/開かれた心でいること/
見つけ出すことに関心をもつこと/聴くことと待つこと/感情や空想を真剣に受けとること/
他者が感じていることをどのようにして知るのか
第二章 治療的相互作用
はじめに/心の痛みを理解すること、抱えること、包容すること/情緒的な痛みのさまざまな抱え方/
未知のものに対する疑念や恐れを抱える/ある一定期間抱える/葛藤を包容する/怒りや無力感を包容する/
罪悪感と抑うつを包容する/確固とした包容を提供する/行動と洞察を組み合わせること/今にも崩れそうな母親/
家にお金がない/積極的な介入をする上で考慮すべきこととケースワーカーの態度
第三章 心理学的援助にともなう責任と負担についてのいくつかの見解
責任の範囲と限界/心理学的援助の負担とその予防策
訳者あとがき/読書案内/参考文献
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