若い頃の私は、人生とは、過去からの積み重ねで、過去が今を作り、今が未来を作っているのだと思い生きてきました。その為、人生につまづいた時、あの時の選択が間違っていたのだと、過去を悔やみ、時には、運が悪かったのだと、自分を納得させてきました。 しかし、四十五歳を過ぎた頃、その辺りの認識は、大きく変わりました。私が、この地球に生れ落ちたその日には、寿命までの間に体験する、誰を親と選び、どの学校に進学し、何の職業に就くのか、どんな恋愛をし、誰を結婚相手に選ぶのか、病歴、結婚など、全てが決まっていた事に気づいたのです。 今世は、今世の縁だけでは出来ていません。私の人生は、前世からの縁で織りなす今世でした。その時空というものを体験して、時空が、人生に与えている影響を小説風にまとめてみました。ヤヌスの脳 ヤヌスの脳(造語)という特殊な脳を持った女性が主人公。この脳を持つ人間は、前世から持ち越してきた迎え火(カルマ)があるとされている。 ヤヌス、ローマ神話では、門の守護神。頭の前後に反対向きの顔を持つ双面神。物事の内と外を同時に見る事が出来た神。 主人公の脳は、左脳を魂が、右脳を思考に存在する自分、要は、主人公が支配している。別々のエネルギー体が、共生・共存しているのだ。だが、この二つのエネルギー体が、眠りという休息状態に入った時、同調した波動が生まれ、夢をいう形で前世体験を知る事が出来た。 ある夜、主人公の水木三葉は、今世に使命がある事を知らされる。その使命は、前世で魂が交わしてきた約束を果たす事であったが、肝心な、その内容を魂から聞く事は、天の掟で禁止されていた。三葉の持つヤヌスの脳は、この前世から持ち越してきた迎え火(カルマ)を知る為に、天が用意していた脳であった。三葉は夢の中で、数百回もの魂の前世を体験し、その交わしてきた約束を探し出さなければならなかった。 数年かけて前世の体験を刷り込まれた三葉は、四十歳を迎えていた。連夜の夢の刷り込みで、三葉の脳は、その全てが今世で起きた事だと錯覚を起こし始める。思考にあるはずの、前世と今世の境界線を見失い、今世で前世を生きるという時空の歪みが起こり始めたのである。 前世で魂が交わした約束の内容は何なのか、その使命を三葉は果たせるのか…フィクションとノンフィクションの混合物語。
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