日本郵政グループは、二〇二一年に郵便事業の創業から一五〇年を迎えた。従業員四〇万人を超える巨大組織は「腐敗の構造」にはまって抜け出せずにいる。近年では、かんぽ生命の不正販売、内部通報制度の機能不全、ゆうちょ銀行の不正引き出しと投信販売不正、NHKへの報道弾圧、総務事務次官からの情報漏洩と癒着など、数多の不祥事が発覚した。一連の事象の底流にあるのは、問題があっても矮小化し、見て見ぬフリをする究極の「事なかれ主義」だー。スルガ銀行や商工中央金庫による大規模な不正事件など、金融業界の不祥事を追及してきた朝日新聞の記者が、巨大グループの実態にメスを入れる。
レビュー(10件)
かなりの情報量
郵政腐敗の本だけを読むと、全国郵便局長会のイメージはかなり悪くなりました。 74ページからの局長会の成立ちは凄く分かりやすく、なぜ日本郵政がブラック企業になったのか勉強になりました。 局長という権限で、自身の既得利権を守るために、人事を操作し、ゴマすりイエスマンのみを出世させる。現場の声を無視し続けた結果、顧客無視の数字至上主義と過剰なノルマや自爆営業が全国の郵便局で蔓延。確かに、2017年前後は、ふるさと会や支社が提供する高額なカタログ商品を今日中に購入しろと自爆営業を課長代理が一般社員やアルバイトに強要する姿が複数の局で実際に散見されました。 118ページ「かんぽの不正問題では、過剰な営業目標に現場の郵便局員が追い立てられ、高齢顧客をだましてでも契約をもぎ取る不正が横行した」この一文が、過去の話にならずに、高額なカタログ商品などでまた再発する可能性は非常に高いと思います。不正を指示したり、部下に自爆営業を強要したり、ゴマすり自爆営業を率先して行っていた人間が、変わらず役職に就いてしまっている。 不正の背景をかなりの情報量で公開した本書ですが、ひとつ思うのは、日本郵便で働いている幹部や配達や内務の現場社員の大半は、不正などせず真面目でお客様対応が誠実な人が多いです。自爆営業や企業への強引なかもタウンの押し売りをなくすために、暑中見舞いハガキ自体を販売中止にしたり、また不正を働く可能性のある元渉外の足止めをしたり、再発防止のために、取り組んでいる幹部は少なからずいます。 詐欺をした加害者側の日本郵政が、最近、週刊東洋経済に申し入れをしたとの話を聞きました。顧客軽視の対応で、恥ずかしい限りです。 現在進行形で様々な問題点のある日本郵政に踏み込んでくれた筆者に、不利益など今後ない事を強く望みます。