最も過酷なスポーツのひとつといわれる、トライアスロン。水泳3.8キロ、自転車180キロ、マラソン42.195キロという途方もない距離だが、その過酷さゆえに挑み続けるアスリートは後を絶たない。 本書は、そのトライアスロンをとおした人間模様を描く3つの物語で構成されている。トライアスロンというスポーツが持つ魅力に迫りつつ、身体に障がいを持つ息子とふたりでそのスポーツに挑むアメリカ人の親子を中心として様々なストーリーが展開される。ひとりで挑んでさえも過酷なスポーツなのに、障がいを持つ息子を懸命に運ぶ父親の姿、そして障がい者ながら不思議な能力を持つ息子に、多くの人々が勇気づけられる。 人生を生き抜くためにトライアスロンに打ち込む人がいれば、忘れるために打ち込む人がいる。何かを求めるために始める人がいれば、何かから逃げようとしてはじめる人もいる。 トライアスロンが持つ魔力的な魅力に取りつかれ、さまざまな過去を持つ人間がその途方もない距離のレースに挑み、その過酷さゆえに敗れ去ろうとしている。弱い心を抱えながらも、強くありたいと願いながら挑むのだが、その壁は途轍もなく高く、ゴールは銀河系ほどに遠く思える。それでも彼らは挑み続ける。そんな彼らと、アメリカ人の親子の物語が絡み合い、今日もまたひとつ、新たなストーリーが生まれようとしている。
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