●エビデンスに基づく心理療法としてその適用範囲を広げ,注目の高まる動機づけ面接の本邦初の解説書。豊富な日本語逐語録を収録し,具体性を持って,そのスピリットを学べる好著である。
●動機づけ面接(Motivational Interviewing,MI)とはクライエント中心かつ目的志向的な面接のスタイルによってクライエントのアンビバレンス(相反する感情や態度)を探り、それを解消する方向に行動の変化を促していく技術である。近年はさまざまな領域に応用され、その効果を示すエビデンスが蓄積されてきています。ダイエットや運動に関しても研究がされています。他の非指示的なカウンセリングと比べると、MIは焦点を絞り,目標志向的です。アンビバレンスの探索と解消が中心的な目的であり、カウンセラーは、このゴールを求めて意図的に指示的であるのが特徴です。
●精神療法家は,特定の精神療法や技法を用いて,ある特定の患者の問題を治そうとする。特定の理論を用いて,患者の心を理解してやろうとする。ところが,治そう/理解しようとすればするほど,かえって,患者は治らず,患者の心の理解は袋小路に陥る。治療者も失望に陥る。動機づけ面接は,治そうとすること,理解してやろうとすることがもたらす矛盾を,ありのままに記述し,興味をもって分析するところから始まった。「治そうとすること」,「理解してやろうとすること」に対する絶望がスタートである。治療努力が手段ではなく,目的になってしまうことによって起こる矛盾に気づくことは他の領域でも役立つことだろう。治療が滞っているケースがあるとしよう。「このクライエントにはやる気がない,病気でいたいからこんなことをしているんだ,もういい加減,クライエントの顔を見るのも嫌だ」,そんなことを毎日のように思っているあなたでも,動機づけ面接を使えるようになれば治療を劇的に好転させることができるかもしれない。あなたが,この本を読むことで,自分の欠点について理解し,クライエントの抵抗の働きも分かるようになれば,そして,たとえ苦手なクライエントであっても,プロとして何かしたいという真摯な気持ちがあるならば,きっとそうだろう。(「緒言」より抜粋)
●目次
緒言 MI ready to start?
この本を読む人に問う
失望が創造する
読む理由
動機づけ面接のスピリット
では指南書ではない?
注意事項
第1章 概念 MI as a concept
動機づけ面接とは
MIの歴史
MIという態度:スピリット
MIではないもの
第2章 方法 MI as a style of communication
O:開かれた質問(オープニング)
A:是認(あれとこれ)
R:聞き返し(理解を深める)
S:サマライズ(先に進むためのステップ台)
第3章 介入 MI as an Intervention
面接から巻き込んでくる強迫性障害
ネット相談におけるMI
ここまで増幅した聞き返しにも肯定する全般性不安障害の患者
家族療法としてのMI(CRAFT)
私が私をトレーニングする
第4章 研究 MI as a research agenda
MIは面接を技術にする
言語行動と関係性を評価する
言語を分析する
第5章 態度 MI as an attitude
非特異的という特異的な治療因子
プラセボ反応とは
第6章 結んで開いて MI to close and open new lines
O:開かれた質問を開く
自己是認
付録
1.援助反応質問紙
2.動機づけ面接スキルコードマニュアル第2.1版
3.動機づけ面接治療整合性尺度第3.0版・日本語版
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