喫茶店や映画館、それに書店で見知らぬ人と
隣り合わせになる…。
2020年より前の暮らしの中にあって、
いま私たちが恋い慕うなにげない日常の風景を、
瑞々しい感性で世界各国から愛される作家の
エラ・フランシス・サンダースが描き出す。
この本は、さまざまな場面、愛情、ほかの人との相互作用、経験、出来事、思わぬ発見といった、私たちみんなが共有し、取り戻したいと切望しているものの断片を、挿絵とともに集めて見せてくれます。のんきだった時代の、歴史のようにさえ感じられる、夢にまでみるあのさまざまな瞬間。道ばたで出会う、日々の中にちりばめられたワクワク感。生きていることそのものが、今は同じようには起こり得ない美しい偶然です。
それは読者に、手離し、出会う機会を失い、触れられなくなったものについて思い描かせます。やさしく美しい方法で、小さな大切なことが、どれほど価値があるか、思い出させてくれるのです。1日、1週間、1ヶ月に与えられる「生きる意味」。それがはぎとられてしまうと、心は行き場を失い、感情は痛みにおおわれます。
この本の行間には、それら大切なものへの追慕とともに、私たち人間が、きっとまた寄り添いあえるはず、という希望と自信とがつまっています。
美術館や画廊に立つ。
バスの中で、同じ本を読んでる人に出会う。
だれかが落としたものを、拾って手渡す。
図書館や書店にいる。
知らない人をなぐさめる。
日々の何気ない美しいことをいっしょにする。
通りすぎる車の中のだれかと目で合図。
映画館の暗がり。(劇場も)
道を教える。
満員電車のぎゅうぎゅうづめ。
遠くにいるなつかしい知り合いのもとにかけつける。
握手。(ふつう遠慮がちに)
郵便局で列に並ぶ。
建物の入り口で雨宿り。
思いがけない特別な場所を発見。
スーパーでひそひそ声のおしゃべり。
だれかといっしょに、列車の窓から外を眺める。
だれかと同じものをとろうとして手が触れる瞬間。
お弁当をシェアしてるのを見かける。
バス停で待つこと。
会えたねのハグ。
待合室で、だれかの靴をほめる。
素敵な犬にごあいさつ。
コインランドリーで待つ。
カフェで見知らぬ人と恋に落ちる。
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