絵巻・物語絵などの絵画は、単に画題を絵で「伝達」するメディアではない。そこには制作にかかわる主体の画題への[解釈ー表現]行為過程が介在している。
その表象行為をめぐって、日本中世にはどのような特質が見られるのか。
中世に制作された『信貴山縁起』、極楽寺蔵『六道絵』、『源氏物語絵詞』などを中心に、鑑賞者の解釈を誘発する、その表象の編成と仕組みを分析する。
また、教育の場では絵画をどのように扱うことができるのか。
実際の教育現場に携わった著者ならではの視点から、定番教材である『竹取物語』や『徒然草』を題材に、古典学習の拡充に向けた絵画の有効的な活用を提案する。
序 章 研究の目的と方法
第一節 研究の目的
第二節 研究の方法
第一章 〈絵語り〉論序説
第一節 問題の所在
第二節 鑑賞主義的な解釈
第三節 画面構成による絵画の語り
第四節 物語とは直接関係のない絵画表現
第五節 隠喩の文脈
第六節 主題の複層性
第七節 まとめ
第二章 説話画の〈絵語り〉-『信貴山縁起』尼公巻をめぐって
第一節 問題の所在
第二節 信濃を出国する尼公
第三節 和歌と名所絵
第四節 宿をとる尼公
第五節 〈絵語り〉の位相ー観念と実像
第六節 まとめ
第三章 仏教説話画の〈絵語り〉-極楽寺本『六道絵』をめぐって
第一節 問題の所在
第二節 十王絵相の検討
第三節 六道絵相の検討
第四節 極楽寺蔵『六道絵』の〈絵語り〉
第五節 まとめ
第四章 物語絵の〈絵語り〉-『源氏物語絵詞』をめぐって
第一節 問題の所在
第二節 〈絵語り〉と景(空間)
第三節 〈絵語り〉と時間
第四節 〈絵語り〉と心情(人)
第五節 〈絵語り〉と意味
第六節 まとめ
第五章 教材としての絵画(一)-古典学習の拡充に向けて
第一節 問題の所在
第二節 教科書における絵画資料の使用目的
第三節 指導書における絵画資料の使用目的とその検討
第四節 絵画資料の有効的な活用の提案
第五節 中学校の古典学習におけるまとめ
第六節 『源氏物語絵巻』「御法」を用いた活動
第七節 『源氏物語』御法巻の学習の狙い
第八節 絵画資料の有効的な活用の提案
第九節 高等学校の古典学習におけるまとめ
第十節 教材としての絵画
第六章 教材としての絵画(二)-絵画テキストを活用した実践事例
第一節 『竹取物語』の挿絵を用いた活動
第二節 活動を通して得られた学習の効果
第三節 「竹取物語絵」学習のまとめ
第四節 「徒然草絵」を用いた活動
第五節 絵画テキストの使用目的
第六節 単元について
第七節 授業構成
第八節 学習者の反応
第九節 「徒然草絵」学習のまとめ
結 章 研究の総括
第一節 本研究の概要
第二節 日本中世の〈絵語り〉の諸相
第三節 日本中世の〈絵語り〉の特質
あとがき
初出一覧
参考引用文献
索 引(事項/人名/書名)
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