芥川龍之介の中国紀行文『支那游記』研究に新たな視点を提供する
『支那游記』における芥川の〈中国〉表象と彼の中国認識の位置づけについて新たな視座から考察し、その上で芥川の〈中国〉体験に映し出された自国〈日本〉を提示する画期的論考。
『支那游記』にみられる芥川の〈中国〉表象について、日本中国双方の過去の先行研究では批判的な検討が多くなされていたが、最近では再評価する傾向がみられる。著者はそれに注目しつつ、『支那游記』各篇テキスト、関連文献を深く読み込むことで、各篇において微妙な変化がみられる彼の〈中国〉表象と発表されたメディアの報道スタンスとの関わりについて詳細に考察する。そのことで中日の近代という歴史背景に浮かび上がる文学とメディアとの関係はより一層明らかになった。
序 章 芥川龍之介の中国体験に関する先行研究と本書の着眼点
第一章 「上海游記」に見られる日本へのまなざし
ーー『大阪毎日新聞』の対中国言説のスタンスとの関わりーー
第二章 「江南游記」に見られる日本へのまなざし
ーー大阪毎日新聞社の要請との関わりーー
第三章 「長江」に見られる日本へのまなざし
ーー関東大震災に繫がる『女性』の編集方針との関わりーー
第四章 「北京日記抄」に見られる日本へのまなざし
--中国の社会運動に対する『改造』のスタンスとの関わりーー
第四章 『支那游記』に見られる日本へのまなざし
ーー改造社の読者意識との関わりーー
参考文献
芥川龍之介年譜
あとがき
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