【POD】パナマの広大な草原地帯における劣悪土壌の肥培管理と農牧生産
本書は、筆者にとって初の国際農業協力の現場となったパナマ農牧研究所(Instituto de Investigación Agropecuaria de Panamá: IDIAP)での活動成果である。1992年からの青年海外協力隊(Japan Overseas Cooperation Volunteers: JOCV)、断続的な共同研究も経て、初のシニア海外ボランティア(Senior Volunteers:SV)として2009年まで、多様な栽培試験を通じて貴重な成果を残してきた。ここでの仕事は、直接の圃場での仕事(野外科学的方法)であり、これこそが途上国のニーズに応えている、あるいは本当に求められている農学の姿であると実感した。もちろん、ここで得られた成果は、わが国・他の中南米諸国においても、発表・雑誌投稿・若手人材育成教育等にも力を入れてきた。本書はその成果を報告するものである。本題としては、第4章ではVeraguas県のCalabacito地区の『アルティソルの化学性改良と作物生産』、第5章ではCoclé県El Coco地区の『インセプティソルの肥培管理と稲作生産』、第6章において、両県両地区における『マメ科植物の活用と環境配慮型牧畜生産』の代表的な事例・成果を取り上げる。筆者は、読者の方々には、「全ての試験結果に目を通してほしい」と記すつもりはない。本書では、パナマにおける成果として、これらを一気に報告しているのであって、農学部学生や大学院生らをはじめ、読者の方々には、各自の専攻領域の中で、関心ある内容のみでよいので、参考になる部分があったら、参考にしていただきたいと考えている。特に、一般、文科系、教育系、国際協力等に関心のある方々には、第7章の『野外科学的方法に基づいた普及・教育の実際』は、案外分かりやすい内容であると期待している。とにかく、多くの読者にとって、何か参考的な材料になってもらえれば幸いである。
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