咲良は小学校3年生の夏に、家の庭のミカンの木で、アゲハチョウの幼虫のたまごをみつけた。お兄ちゃんに教えると、「幼虫がアゲハチョウになるまで、一緒に育てよう」とお兄ちゃんは約束をしてくれた。
それから間もなくお兄ちゃんが事故で亡くなり、咲良と両親は深い悲しみにしずんでいた。なかなか立ち直ることができなかった。
つぎの年、4年生になった咲良は、同じ木にふたたびたまごを見つける。大好きなお兄ちゃんとの約束を守りたい。咲良は、もう一度たまごを育てることを、友だちの愛に相談した。
咲良と愛は、幼虫のえさになるミカンの木の葉っぱを、近所の苦手な苦虫じいさんからもらった。苦手だったおじいさんと打ち解けてきた咲良たちは、おじいさんの協力で幼虫にエサを十分にあげて育てることができた。
やがて、幼虫はさなぎになり、とうとうさなぎからアゲハチョウが羽化するときが……。
レビュー(3件)
虫好きの子供にオススメ
主人公の咲良の心の成長、家族の気持ちの変化、友達の大切さがとても伝わるお話しでした。 幼虫の飼い方や、アゲハチョウの成長の過程が書いてあるからか、普段本をあまり読まない虫好きの子供が夢中になって読んでいました。
大好きな家族を失ってしまうという、大変深い悲しみの中、アゲハチョウを懸命に育てていくことで少しずつ前向きになっていく女の子の姿が胸に迫ります。アゲハチョウが羽化するシーンは、緻密に描かれたイラストと、丁寧な文章が相まって、まるで目の前で一緒に羽化を見届けているような臨場感があり、思わず涙が込み上げました。人の優しさや強さを感じ、そして命の奇跡を考えさせられる、年齢を問わずオススメしたい作品です。優しくて繊細なイラストも素晴らしかったです。