音楽にとって極めて重要なピッチ(音高)を人間の神経がどのように符号化するのかを詳しく考察。事実と実験結果、推測に基づいた大胆な仮説を提案し、秀逸な知的エンターテインメントとして読むこともできるが、各分野の研究者には多くのヒントやテーマが潜んでいるだろう。神経生理学、音響心理学、音楽理論、物理・工学など、幅広い層の読者に興味深い本だと思われる。
第1章 和声の歴史的側面
1.1 音楽の起源
1.2 音楽と和声の力
1.3 普遍的な言語としての音楽
1.4 音楽的調和と整数
1.5 普遍的な和声(宇宙の調和)
1.6 球の調和
1.7 現代の天文学における調和
第2章 音と周期性
2.1 音は動きである
2.2 音の周期性
2.3 フーリエ解析
2.4 言語音
第3章 基音の不在の発見ーーMissing Fundamental
3.1 サイレンの音ーー“The sound of sirens”
3.2 ピッチ論争
3.3 ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ
3.4 ピッチの機械的な基礎か?
3.5 結合音と欠如基音
3.6 和音の機械的な基礎か?
3.7 ヘルムホルツの音楽への影響
第4章 ピッチの謎
4.1 電話説
4.2 「残留音(residue)の再考」
4.3 「支配的領域」
4.4 ピッチ移動
4.5 スペクトルの符号化
4.6 時間的符号化
第5章 聴覚における時定数
5.1 ピッチ知覚の素量的効果
5.2 引き込み現象と絶対音感
5.3 母音フォルマントにおける聴覚時定数
5.4 声調言語である中国語における時定数
5.5 笛調律の不思議
5.6 鳥の鳴き声の聴覚時定数
第6章 聴覚の伝達路
6.1 蝸牛から皮質まで
6.2 耳
6.3 聴神経
6.4 蝸牛核
6.5 オリーブ核群
6.6 外側毛帯
6.7 下丘
6.8 視床,皮質への門
6.9 皮質
第7章 脳幹における周期性の符号化
7.1 聴神経における周期性の符号化
7.2 蝸牛核における周期性の符号化
第8章 中脳における周期性の符号化
8.1 複合音の符号化
8.2 同期と発火頻度
8.3 刺激パラメータと応答特徴
8.4 周期性の符号化
8.5 内部振動
8.6 最適変調周期,内部振動,応答開始潜時
第9章 周期性の符号化の理論
9.1 同期と調和
9.2 リックライダーモデル
9.3 ヒューイットとメディスのモデル
9.4 周期性モデル
9.5 周期性モデルによるシミュレーション
9.6 周期性モデルで説明されるピッチ効果
第10章 ピリオドトピー
10.1 ピッチの空間表現
10.2 下丘への写像
10.3 「ピッチニューロン」
10.4 ピリオドトピーとトノトピー,1 つのモデル
10.5 皮質への写像
10.6 皮質より上位で
第11章 和音の神経符号
11.1 ピッチラセン
11.2 中脳のくし形フィルタ
11.3 同期した抑制
11.4 抑制まで含めた周期性モデル
11.5 聴覚の二重ラセン
11.6 神経のピッチラセン
11.7 協和性
11.8 和音
第12章 振動する脳
12.1 「お婆さん細胞」と「カクテルパーティー問題」
12.2 結合と振動
12.3 脳内のラセン状構造
12.4 心は脳の「音楽」である
参考文献
索引
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