本書は、明確なコンセプトのもと、生物の適応や生活史、生物間相互作用、群集理論、保全の問題がいかに密接に関係しているかを、124枚にも及ぶ豊富なイラストを駆使して、分かり易く紹介している。湖沼生態系や水生生物は、生態学のさまざまな理論を検証するモデルとして、あるいは理論を導く対象として、主要な研究対象である.したがって、本書は水界生態学や陸水学の入門書であると同時に、生態学の基礎とセンス(見方)を学ぶうえでも優れた教科書である。
近年の地球環境変化や生物多様性の喪失は、生態系の保全へと私達の目を向けさせるようになった.今や、生態系の保全は私達の最大の関心事となっている。しかし、本書にもあるように、湖沼の保全に必要な生態系の理解や処方は、保全を目的として生まれたのではなく、言わば知的好奇心のドライブによって浮かび上がってきたものである。生物の適応や生物群集への知的好奇心こそ、生態系保全のエネルギー源である.過去の研究がそうであったように、今後も知的好奇心を満たす基礎研究の積み重ねが、よりよい保全へと私達を向かわせるだろう。その意味で、本書は湖沼の保全に関心あるすべての人にも役立つだろう。
[原著書名:The Biology of Lakes and Ponds second edition(Oxford Univ.Press)]
日本語版への序文
まえがき
1 イントロダクション
2 理化学的環境と生物の適応
3 湖と池の生物ー環境という舞台の主人公
4 生物間相互作用ー競争,植食,捕食,寄生,共生
5 食物網動態
6 生物多様性と環境の変化
文献
さらに学びたい方へ
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用語解説
監訳者あとがき
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