戦時中(昭和18年)、田舎町に生まれた天宮明男の成長記。上・中・下三部作の《下巻》第五話『想我(そうが)』中学二年、明男の初恋が見事に砕けた。その後に残された明男の『心』の中に「自分は卑怯者なのか?」の疑念。悩みを打ち明けられた父、洋一は明男に、『知・情・意』の関係を教える。剣道大会次鋒に選ばれた明男を三人組の暴漢が襲い、明男は足を骨折する。事件の背景には、利権がらみの陰謀があり大事件へと発展するが、健吉の活躍で解決する。昭和33年7月、51歳の若さで父、洋一が病没した。明男、15歳の夏であった。火葬場の高い煙突から青空に向かって、煙となって昇っていく洋一を見送る明男。白い開襟半袖シャツを着て立ち尽す明男のいがぐり頭に、強い日差しが容赦なく照りつけた。
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