本書はディーター・シュナイダー教授の代表的な著作の一つであり、4部から構成される311ページの書物『経営経済学 第1巻(基礎編)』の第1部および第2部の翻訳書である。
シュナイダー教授の構想している経営経済学は人間行為の経済的側面を研究する。それは所得の側面であって、人間行為の導きの糸となるものである。個々の人間は、自分の欲求を充足するために所得を獲得し、所得を使用するのであるが、それは不確実性に支配されている。この場合、不確実性とは目指された目標と実際に達成されたことの乖離として捉えられている。この不確実性を減少させるために制度(規則システム、行為システム)が利用される。そして、所得不確実性の減少という研究パラダイムを具体化するのが企業者職能であって、かかる企業者職能に重要な意味が与えられているのである。経営経済学はかかる制度を研究するのであり、その意味において「制度の個別経済理論」と称されるのである。ただし、経営経済学の研究対象は企業(営利経営)なる制度に限定され、家計および国家は考察の外に置かれている。このような企業者職能論に基づく経営経済学的思考が、シュナイダー教授のすべての研究の基礎となっているのである。
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