レヴィナスの他者論に触発され、その含意を時にはレヴィナスを超えて考え尽そうとする。ここで著者がテーマとするのは倫理の次元はどこにあるのかということである。この世界は物理学が描くような力の世界である。これに対して理性や言葉や倫理などはどういう位置を占め、どこから発生し、どう権利づけられるのか。力の世界を成立させている外部(他者)を探し、現実を下支えしている可能性の総体を厳密に考える。ホッブズの政治哲学などを素材としながら、思弁の力によって切り拓かれた新しい世界。つまりこれが哲学である。
はじめに
序章 「語りえぬもの」のためにーー責任と正義/あるいは倫理と政治
1 無知ーーソクラテス
2 常識ーーアリストテレス
3 偽善ーーニーチェ
4 沈黙ーーヴィトゲンシュタイン
5 過剰ーーレヴィナス
I 力
第一章 力・暴力・理性ーー暴力の彼方へ
1 力と暴力
2 暴力と理性
3 理性と暴力ーーあるいは暴力の彼方へ
II 戦争
第二章 戦争と平和ーーホッブズとカントを手がかりに
1 世界=戦争
2 リヴァイアサンーーあるいは「欲望する機械」
3 永遠平和へ/のために
第三章 〈汝、殺すなかれ〉--ある〈起源〉をめぐって
1 なぜ戦争なのかーーフロイトの反問
2 「私」の〈起源〉へーーあるいは「言語」
3 〈汝、殺すなかれ〉
4 根源平和から
III 国家
第四章 国家と他者
1 コーナートゥスと他者ーー存在と倫理
2 国家へーー正義の要請としての「政治」(le politique)
3 〈汝、殺すなかれ〉、ふたたび
終章 他者の/と死ーーレヴィナスに
1 レヴィナスの死
2 「他人(autrui)」と死
3 死と「他なるもの(l'autre)」
注
おわりに
文献
索引
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