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『源氏物語』を生んだ一条朝は、紫式部、清少納言、安倍晴明など、おなじみのスターが活躍した時代。藤原道長が権勢をふるった時代とも記憶されているが、一条天皇は傀儡の帝だったわけではなく、「叡哲欽明」と評された賢王であった。皇位継承をめぐる政界の権謀術数やクーデター未遂事件、当時としてはめずらしい「純愛」ともいうべき愛情関係。ドラマチックな一条天皇の時代を、放埓だった前代・花山天皇の、謀略による衝撃的な退位から書き起こし、現存する歴史資料と文学作品、最新の研究成果にもとづいて、実証的かつ立体的な「ものがたり」に紡ぎあげる。『源氏物語』が一条朝に生まれたのは、決して偶然ではない。
レビュー(50件)
一条天皇(父の花山天皇も含めて)と中宮の定子や彰子、それぞれの宮仕えをした清少納言と紫式部を巡る話が書かれています。 藤原氏の権力争いの駒とも言える人物たちですが、それぞれの生き方や置かれた立場、思いなどがうかがい知れます。 定子の隆盛と没落、一条天皇に大事には扱われていても定子ほどには愛されてはいない彰子を見るにつけ、どちらの女性も大変な生涯だったのかと考えてしまいます。
源氏物語かかれた時代の話です。 一条天皇や花山天皇の話があります。 紫式部がみた朝廷を源氏物語にいかせたのかと思うと読んでいて楽しいです。
源氏物語
源氏物語の世界をわかりやすく説明してくれて、大変面白かったです。
源氏物語のファンの人へ
源氏物語が書かれた時代、平安期の一条天皇の時代背景が、わかりやすく描かれています。天皇が実権を持っていた時代であり、貴族の藤原氏が摂政として天皇の実権を奪い権力の頂点に君臨しようとする時期でした。 権力のあるところへ人々はなびき、その浅ましさ、現実主義の人の世は、普遍のことと思われます。一条天皇が、定子を還俗させてまで手元に置き、庇いつづけたのは、本当に愛していたのでしょう。定子の女房、清少納言の枕草子があるからこそ、この時代のことが、よりよくわかり、そのライバル彰子の女房、紫式部の源氏物語は道長の後押しで書かれ、後世に遺されたことが、わかりました。 源氏物語のファンは必読と思います。
内容もさる事ながらとても読みやすく惹き込まれる文章なのであっという間に読み切ってしまいました。一条天皇と二人の中宮である定子と彰子、それぞれの中宮の女房である清少納言と紫式部をめぐる様々な人間模様は源氏物語にも引けを取らない物語性がありとても感動しました。特に没落していく中宮定子をずっと変わらず慕い続け、その死後は彼女の美質を余すことなく枕草子に蘇えらせた清少納言の心意気には心を打たれました。