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これまでになかった画期的な「文末論」と、単調になりがちな文末を豊かにする実践的技巧を示した、本当に役に立つ、まったく新しい文章読本! 日本語の文章で力点が置かれるのは圧倒的に文末。なぜなら文が終わるところなので、もっとも記憶に残りやすい。そこに情報の核を据えるので、文章におけるパンチの効かせどころだと著者は説く。 ところが日本語では最後に動詞がくるので、付け足しがしにくく、その大切な文末が弱い。さらに日本語の文末は「です」「だ」などの連続になって単調になるという弱点もある。これらをどう解決するか。 『日本語のレトリック』『メタファー思考』などのベストセラーがある言語学者が向田邦子、筒井康隆、井上ひさしなどの名文を引いて丁寧に構造を分析し、解説。 長年文章の技巧を研究してきた著者の分析は的確で、語り口は軽妙でわかりやすい。よりうまく、美しく、伝わる文章が書けるようになる画期的な1冊。 また名文がふんだんに引用されているため、日本語の美しさや豊かさ、作家のテクニックを堪能しながら読み進めることができ、実践的でありながら、読書の楽しさも味わえる。 【目次より抜粋】 第一章 終わり良ければすべて良し 第一節 「す」と「る」を書き分ける デス調とデアル調の変換/「す」と「る」を書き交ぜる/「て」の謎を解く 第二節 「た」の処理法ーー過去をどう表すか 小説はいつも「た」で終わるか/過去の過去形 第三節 主体性から見た文章技法 主体性と視点/現象文と出会う/一人称の語り手 第二章 踊る文末 第一節 キャラ立てする 役割語とは/助動詞のお目当て 第二節 文法のレトリック 動詞を鍛える/止めを生かす/否定の出番ですよ 第三節 表現のレトリック 感嘆と祈願/もっと対話をーー「そう」と「いや」/倒置法と追加法 第四節 引用のレトリック さまざまな意匠/間接引用の世界/「と」の乱舞 【著者略歴】 言語学者。1951年、京都府生まれ。大阪市立大学文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。佛教大学教授、大阪市立大学教授名誉教授。専門はレトリック、英語学。 豊かな言語表現の技法を研究。著書に『メタファー思考』(講談社現代新書)、『日本語のレトリック』(岩波ジュニア新書)など多数。編著に編集主幹を務めた『英語多義ネットワーク辞典』(小学館) 『プログレッシブ英和中辞典』(第五版、小学館)など。
レビュー(16件)
授業、講義の様な内容です。知っていた方が良いけど、これを読んで真似できる書き方があるという内容ではなかったです。