敗戦から高度成長を経てバブル崩壊へと続いた社会変動は、日本人のライフサイクルを激変させた。それは、「常識が考えるよりもはるかに複雑で奥行きと広がりがあり、また生ぐさいものである」人間のつながりに、どのような歪みを生じさせたのだろうか。生きていく上で避けられない関係としての家族(「家族の表象」「家族の臨床」)や、無視し得ない社会問題となりつつあった老いについて検討する(「老人の治療についてのノート」「世に棲む老い人」)と同時に精神科医としての構えを自らの体験に即して綴った作品(「精神科医の弁明」「治療文化と精神科医」)を収める。
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30年を振り返るとき
本書は、80年代に出版された中井先生の著作集を再編集したものです。文庫でも、学術系のものは比較的高いので買うかどうか躊躇したのですが、目次にある『フクちゃんとサザエさん』を読みたくて購入したものです。 ただ、手にしてみると、著作集6巻「個人とその家族」での「親の成熟と子どもの自立」を改題したもののようです。 晩婚化や高齢出産が増えているようでもあり、また長寿社会にあっては、各世代で同時に転換期を迎えるケースもでてくるかもしれません。 そういう徴候を見るとき考えさせられる指摘です。