今日、従来の直接的生産労働とは異なるさまざまな労働、ホワイトカラー労働、ブルーカラーも加えた能力主義的労働、家事労働や医療・介護労働を含めたケア労働等が話題になっている。このような状況に対して、本書は生産的労働概念の再検討をとおして、現代社会において複雑に多様化している労働の理論的位置づけを試みた。それらの労働は必ずしも資本主義の現代的変容によって新たに齎された面ばかりでなく、資本主義経済がそれ自身のうちに有していた多様化の契機が表出したものであり、均質な労働に収まらない資本主義経済の不安定性が明らかになり、また多様化の契機の特定により資本主義の現代性も解明できるのではないかという見立てからその理論的作業に入った。
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