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昭和十年、秋。笹宮惟重伯爵を父に持ち、女子学習院高等科に通う惟佐子は、親友・宇田川寿子の心中事件に疑問を抱く。冨士の樹海で陸軍士官・久慈とともに遺体となって発見されたのだが、「できるだけはやく電話をしますね」という寿子の手による仙台消印の葉書が届いたのだーー。富士で発見された寿子が、なぜ、仙台から葉書を出せたのか? この心中事件の謎を軸に、ドイツ人ピアニスト、探偵役を務める惟佐子の「おあいてさん」だった女カメラマンと新聞記者、軍人である惟佐子の兄・惟秀ら多彩な人物が登場し、物語のラスト、二・二六事件へと繋がっていくーー。
レビュー(14件)
奥泉さんの文章表現は独特ですね。嫌いではないです。ラクマに出品予定。
心霊音楽協会や白雉博允が関わってきて、話が思わぬ方向に展開することを期待していたのに、そういったこともなく終結してしまいました。 寿子や久慈中尉が亡くなった理由も方法も単純すぎるし、カルトシュタイン、清漣尼、平井マキ代の存在も中途半端。 何より惟秀がよく分からないまま。 ネズミや隧道等を駆使して、もっと変なところに着地点を作って欲しかった。