急速な近代化がもたらす矛盾やひずみが表面化し、近代日本宗教学の確立期でもあった明治30年代(1900年前後)という思想的「惑乱」の時代に焦点を当て、「惑乱」に揺れる文学空間の実相を、さまざまな角度から明らかにする。「文学史」の中で取りこぼされてきた文学者や作品も取り上げ、近代文学が刻んできた歴史の補完も行う。
序章
第一部 外来思想の移入と文学空間ーニーチェ受容を視座として
第一章 戯画化されるニーチェー「滑稽」と「諷刺」の模倣
第二章 「衒学」をめぐる帝大閥と早稲田派の応酬
第三章 〈劇薬〉としての外来思想と宗教ーニーチェイズムとモルモン教の奇妙な結合
第二部 〈宗教〉の季節と文学ーせめぎあう信仰と懐疑
第四章 明治期ハンセン病文学と「信心」のゆくえ
第五章 宗教の「理想」と勧善懲悪ー中村春雨のキリスト教小説を中心に
第六章 「無信仰の文壇」からの(再)出発ー中江兆民『続一年有半』と「宗教」のロマン化
第三部 明治・大正の時代精神と永井荷風
第七章 「地獄の花」の同時代受容とニーチェ熱
第八章 錯綜する神秘主義と自然主義ー洋行期荷風の音楽論生成をめぐって
第九章 仮構される日露戦後空間ー「父の恩」と〈民衆〉の問題系
終章
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