「アウトサイダー」のような文芸評論を書いて新実存主義を主張するときも、「殺人事件集」や「オカルト」のような本を書いているときも、あるいは本書のような小説においても、コリンウイルソンの本質は、無神論的かつ生命主義的(進化論的)な神秘主義者であることにある。この本でもフィクションであることに気を許して、かなりまじめに以前から主張している神秘主義的自説を書き込んでいる。彼の神秘主義に共鳴するか、彼を単なる超常現象ビリーバーと片付けるか、でこの本の評価は、大きく異なるだろう。とりあえず言えることは、彼の小説のなかでは最も完成度が高く読みやすいということだ。
レビュー(22件)
彼の神秘主義に共鳴するか否か?
「アウトサイダー」のような文芸評論を書いて新実存主義を主張するときも、「殺人事件集」や「オカルト」のような本を書いているときも、あるいは本書のような小説においても、コリンウイルソンの本質は、無神論的かつ生命主義的(進化論的)な神秘主義者であることにある。この本でもフィクションであることに気を許して、かなりまじめに以前から主張している神秘主義的自説を書き込んでいる。彼の神秘主義に共鳴するか、彼を単なる超常現象ビリーバーと片付けるか、でこの本の評価は、大きく異なるだろう。とりあえず言えることは、彼の小説のなかでは最も完成度が高く読みやすいということだ。