本書では,まず,波源からの放射から始め,電磁波の等価定理を説明している。その後,等価的な数学解析モデルについて,微分方程式の解析と関連付けて説明している。そして具体的に,直交座標系に合致した構造に関して,電磁波散乱問題の解法を説明している。特に,等価定理は,複数の媒質がある問題において,着目点での電磁界は,その着目点が含まれる領域の情報(波源,境界での値,媒質定数など)だけを考慮すればよいことを保証する重要な定理であるが,それを知らずに電磁界問題を解いていることが多い。 本書は,数学の知識を利用して,電磁界問題の物理現象の理解を目的としている。具体的には,フーリエ級数,フーリエ変換,複素関数等の知識を総合的に利用して微分方程式を解くことに加え,物理的な条件も加味ことになる。昨今,複雑な形状に対しても,電磁界境界値問題を汎用電磁界シミュレーターで解く場合が多い。電磁界分布を数値だけでなくアニメーションでも見れるが,それだけでは物理現象の本質,普遍性を理解することが難しい。本書で扱う数少ない規範的な電磁界問題に立ち返り,波動現象の普遍的なふるまいを理解すること,さらには解析モデルと現実のモデルの等価関係が、複雑な現象を近似的に解く際の理解や精度向上に役立つと考える。
レビュー(0件)