従来の保育における「ケア」の概念は「保育者が子どもを世話する」ということのみで捉えられてきた。しかし、保育現場に身をおくと、子どもが対象世界をケアする姿に出会い、そのかかわりの豊かさに圧倒させられる。本書では、「二人称的アプローチ」から子どもの姿を丁寧に読み解き、「子どもがケアする世界」に保育者がどのようにかかわり、新たな意味を創出していくかを考察することで、保育の奥深い世界を描き出す。
はしがき
序 章 保育におけるケアリング(佐伯 胖)
1 「ケアする」ということ
2 「訴えを聴く」ということ
3 「情感込みで知る」ということ
4 「モノをケアする」ということ
5 学びと発達の「ドーナツ論」
6 「二人称的かかわり」論の展開ーー「ドーナツ論」から「二人称的アプローチ」へ
第1章 「二人称的アプローチ」入門(佐伯 胖)
1 「デカルト二元論」から問い直す
2 二人称的かかわりのはじまり
3 二人称的かかわり(「共感的関係」)の形成過程
4 「二人称的アプローチ」入門
第2章 「観察する記述」から「感じとる記述」へーー二人称的記述から見えてくる赤ちゃんがケアする世界(岩田恵子)
1 「誰と遊んでいるか」から「何と遊んでいるか」
2 「赤ちゃんのモノとの出会い」をどう見るか、どう記述するか
3 かかわりの「二人称的記述」から見える世界の広がり
4 「何と遊んでいるか」から見える保育
第3章 「モノとのかかわり」から「ヒトとのかかわり」へーー自閉症スペクトラムの子どもの心の育ち(宇田川久美子)
1 自閉症スペクトラムの子どもとの出会い
2 「モノ的世界」に芽生えた「情感込みのよさ」
3 「同感的関係」の構築
4 自閉症スペクトラムの子どもの心の育ち
第4章 「見られる自分」から「見る自分」へーー“不思議ちゃん”の自立への道(林 浩子)
1 集団のなかで「同じことができること」の呪縛
2 集団のなかで見えてくるナナの自己意識
3 開かれた一人称性の自己となっていくプロセス
4 ナナの自己意識の変容から見えてくること
あとがき
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