言語では表現し得ない世界を、言語によって表現する。
芥川龍之介、川端康成、村上春樹、川上弘美らが描く〈非リアリズム小説〉をもとに〈読むこと〉の本質を考える。
「言語や感覚では捉えられないものが世界には存在すると考え、それを表現しようとした作家や作品、〔中略〕例えば、日本を代表する文豪である、森鴎外や夏目漱石にもそうした要素は見られ、特に、芥川龍之介・川端康成・三島由紀夫などがこれにあたる。また現代の作家では、村上春樹・村田喜代子・川上弘美なども、この系譜に連なる作家であると言えよう。
これらの作家は、〔中略〕目の前にある現象や事物の背後に、感覚では捉えられない世界があることを認識の基盤としている。私たちの感覚では捉えられない世界、言語では表現できない世界の存在を、疑わないのだ」(本書「序章」から)
はじめに
序 章 日本の近代文学における〈二つの流れ〉について
第一部 深層心理の闇/〈暗黙知〉と世界認識ーー近代日本文学研究上の課題
第1章 近代日本文学研究上の課題
第2章 〈暗黙知〉と〈世界認識〉 --M・ポランニー『暗黙知の次元』と世界認識
第3章 読むことのモラリティ(倫理)
第4章 識閾下の世界 --村上春樹の「地下二階」をめぐって
第二部 近代日本における〈非リアリズム小説〉を読む
第1章 人間存在が抱える心の闇 --芥川龍之介「羅生門」の〈夜の底〉
第2章 〈生〉と〈死〉を超えて/川端康成の死生観
第3章 宿命と人生 --横光利一「蠅」にみる究極の不条理
第4章 「熊の神様」を信じることの意味をめぐって --川上弘美「神様」私論
第5章 川上弘美「神様 2011」が描き出すもの
第6章 死者の鎮魂/死者との共食 --三浦哲郎「盆土産」を読む
第7章 岩崎京子「かさこじぞう」の〈深層批評〉
終 章 第三項と〈世界像の転換〉をめぐる「ひとつ」の考察
--いまこそ文学教育による子どもたちの心の修復を
あとがき
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