長宗我部家が統治する戦国の高知。当時蔓延している狗神の信仰を恐れた当主は、氏神とその信仰者を根絶やしにするために軍勢を村に差向けた。生き残った狗神の一族は、恨みを晴らすことを誓い、その誓いは現世に引き継がれていった。 大学院生健介は、父雄一の死により、父の残した写真館に魅了され家業を継ぐことを決意した。或る日父に関わりある女性の孫亜紀という女の子と出会う。亜季の不思議な魅力に惹かれ、健介はモデルとして亜紀を撮るが、書斎に飾ってある写真を見た亜紀は急に館を飛び出してしまう。 季節がめぐり、亜季とは会うこともなく、亜紀の姉高校生の春香が健介の前に現れる。成長した亜紀を思わせる春香は、亜紀が亡くなったと健介に告げた。 春香の眩いばかりの美しさに戸惑いながら、健介は年齢差を理由に自制を保っていた。春香も健介に惹かれながらも自分の定められた運命に苛立ち、葛藤を繰り返していた。或る日、達也は春香の希望を叶えるために、真夜中のスタジオで春香の写真を撮る。春香の美貌と演技力に圧倒された健介は夢中になってシャッターを押し続ける。撮影を終えた春香は、一糸纏わぬ姿になり、今の自分の姿を撮るよう強要するが、健介は撮影を拒むと謎の言葉を残して春香は館を出ていった。 偶然に知り得た健介の友人の話から、音信が不通となっていた春香の身に危険が及ぶと感じた健介は春香を探し出し再会するが、助けようとした際に暴漢に襲われ、大怪我を負う。健介に怪我を負わせたことで傷ついた春香に対し、健介は春香の想いに応え、ふたりは結ばれる。そして春香は健介のもとから姿を消してしまう。 月日が流れ、奈津美という春香に似た女性が健介の前に現れる。奈津美の存在が春香の面影と重なり、健介は奈津美に魅かれていく。 ふたりの出会いから、健介は体調に不安を抱えるようになり、奈津美も自分に迫り来る不安に慄いていた。 奈津美は何れ訪れる自分の運命を漸く受け入れようと決心し、健介と最後の一夜を過ごした後、消息を絶つ。 奈津美と春香の身体にある共通点に気付いた健介は、必死に奈津美を探し回る。消息が掴めないまま、些細な情報を手掛かりに、健介は怪我で傷ついた折に担ぎ込まれた父の親友馬場医師を訪れるが、突然の心臓発作に襲われその場に倒れてしまう。 健介は一命を取り止めるが、奈津美の血により救われたことを知り、奈津美とはもう会えないことを悟る。 死期を悟った馬場医師から、健介は奈津美からの手紙とノートを手渡される。手紙には、馬場医師の養女となり健介の前に現れた奈津美は亜紀、春香と同一人物であることが綴られていた。奈津美と祖母、健介の家族が戌神の血を引く者であり、狗神の一族の宿命など驚愕の事実が明らかになる。 健介は自分に託された父と馬場医師の研究ノートの解明に取組み、呪われた戌神の血から奈津美を救うために、伊豆へと向かう。しかし、そこには狗神の末裔を束ねる邪悪な狗神使いと狗神に憑依された奈津美が、健介を待ち受けているのだった。
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