「世界」という言葉は、地理的な拡がりを意味するとともに、「世界観」の語が端的に示すように主観的意識も含意する。日本近現代文学の「世界」をめぐる展開をあとづけながら、近年の世界文学論流行のなかで見失われてしまった主観的・心的な「世界」という観点から考究する、新しい世界文学論。
はじめに
第一章 「世界」文学試論──貧乏的世界文学の系譜と村上春樹
第二章 「世界」表象の歴史と近代小説の形成
第三章 近代文学の現象学的転回
第四章 感情移入の機制──他なる「世界」に生きる〈演技〉
第五章 小説家としての正岡子規──先駆する「写生」
第六章 現代文学と〈想像力〉の問題──村上春樹の場合
終章 「世界」の消滅のあとさき──〈経験的ー計算論的二重体〉の時代に
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