近代最初の対外戦争である日清・日露戦争。
公権力による庇護を失い、存立基盤が揺るがされた仏教教団にとって、それらの戦争は国家との関係性を再構築する好機として映っていた。そして仏教教団は、国家的な役割を担うべく積極的に「戦時事業」を推進していくーー。
真言宗・浄土宗教団による「戦時事業」を主題に、両教団が祈祷や追弔という前近代から続く宗教的伝統を活用しつつ事業を展開していくさまを描き、さらにその展開過程から、前近代とは異なる「近代仏教教団」の様相を浮き彫りにする。
維新期の宗教政策から一段と大きな影響を蒙り、そこからの回復を目指した2つの教団に着目し、日本の仏教教団にとって「近代化」とは何であったのかを、いま改めて問い直す。
【目 次】
序 章
[第1部 諸制度と「戦時事業」の全体像]
第一章 明治期の宗教制度と仏教教団の動向
第二章 日清戦争における真言宗・浄土宗の「戦時事業」
第三章 日露戦争における真言宗・浄土宗の「戦時事業」
[第2部 「戦時事業」の具体相]
第四章 近代真言宗の戦死者追弔と組織再編ー護国寺忠霊堂建設をめぐってー
第五章 内務省提出文書から見る仏教教団と国家ー浄土宗東京忠魂祠堂建設を中心にー
第六章 浄土宗忠魂祠堂の地域的多様性ーその重層的性格をめぐってー
第七章 日露戦争期における仏教界の戦死者追弔とその評価ー仏教系メディアを中心にー
終 章 「戦時事業」から見る仏教教団の「近代化」
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