本書は20世紀における個人住宅、それも一般的には最小限住宅と分類される住宅を集めたものである。この分類には、小さな面積、単純なプログラム、基本的な構法システム、一般的な材料で廉価につくられていながら、考えぬかれ、鋭い感覚によって裏打ちされている住宅(あるいはバンガロー、キャビン、隠れ家…)が該当する。ここで取り上げた最小限住宅のコンセプトは、衛生学的な観点からのアプローチとは接点を持たず、むしろ、より詩的な関わり方を示している。この身近な建築が、人間の最も根源的な欲求や欲望の具現、すなわち生活を営むための囲われた場としての住まいとして存在している。ここで扱われている建築は、深い意味で人間性、すなわち我々の生活、夢、情熱の表出である。現代社会においては久しく、建築やそれをめぐる事象は、大規模な公共プロジェクトに集中してきた。こうした状況下で、マイナーな領域として無視されてしまいがちな小さな個人的プロジェクトに新鮮な目を向けてみるのには、本書は絶好の機会と考えられる。ここでは近代主義から現代に至るまでの作品や計画を扱っており、20世紀の偉大な建築家や現代のリーダー的な建築家の作品を取り上げている。
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