利益、罰、自由……私たちがあたりまえに合理的な価値基準に基づいていると考えている物事は、本当に合理的なのだろうか? また、「合理的だからこそわかり合えない」ということはありえないのだろうか? デイヴィッド・ヒュームの理性批判を縦軸に、心理学や行動経済学の知見を加え、自由や平等など私たちの身近な哲学的トピックを再検証する。私たちの社会はいかに「不合理さ」を基盤に成り立っているのかーー読者とともに考え、哲学する一冊。
第1部 社会的協調
第1章 コンヴェンション分析
1 ボートでのオール漕ぎ
2 穀物の刈り入れ
3 共有放牧地の排水
第2章 合理性から協調は引き出せるか?
1 ゲーム理論的分析
2 ロールズの『正義論』と無知のヴェール
3 ニュートラルな合理性の行き詰まりーーゴティエの契約論
第3章 応報的感情
1 復讐には意味がない?
2 罰の在り方
3 罰よりモラル?--合理的な不合理性
第2部 合理的な選択
第4章 理性とルール
1 設計主義の限界
2 社会進化論的リバタリアニズムとハイエク主義との違い
3 情報の限界、信頼の限界
第5章 「幅」のある規範的合理性
1 行為の「理由」と「原因」の区別
2 ヒューム主義vs.反ヒューム主義
3 計画、ポリシー、「幅」のある規範的合理性
第6章 不合理な交流から合理的な共存へ
1 不合理な利己性
2 リスク回避的協調
3 共感の拡大と限界
第3部 自由な社会
第7章 不自由な責任主体
1 「合理的」だから「自由」であるのか?
2 理性と責任
3 「道徳的な証拠」
4 愚行の自由
第8章 膨張する自由、変容する社会
1 自由の膨張
2 社会の変形
3 「物語」の剥奪
第9章 不合理性の哲学
1 擬制としての「合理性」
2 不合理な「信頼」
3 「合理的」という看板
あとがき
レビュー(0件)