青年ながらもどんな手口も見破ると話題の“万引きGメン”椎橋彬。だが、彬にはもう一つの悪魔的な顔があった。マジックの知識を利用して周囲や防犯カメラを欺き大胆不敵な犯罪を繰り返していたのだーー。刑事・舛城と天才マジック少女・里見沙希が捜査を開始。見えてきたのは彬の見事な手口と、暗い過去だった……。彬vs沙希、マジシャン同士の究極の頭脳戦の行方は!? 知的エンターテインメントの“最終版”!「マジシャン第2幕」を大幅改稿した「最終版」誕生!
里見沙希の人生を辿ると、同世代の若者たちに比べて恵まれない少女時代を送ってきたことがわかる。幼い頃に両親を失い、養父の後見はあったものの児童養護施設で育った。そして、孤独のうちにマジックに光明を見いだした。そう、里見沙希もまた、椎橋彬と同様、周囲の大人たちへの不信感を持って育ったマジシャンなのだ。それだけに『イリュージョン』のクライマックスで、二人の人生が交差するシーンは感動的なものになっている。
タカザワケンジ(書評家)(解説より)
レビュー(8件)
マジックと万引きとの区別
再読。万引き犯を総て摘発すれば、万引きGメンの仕事がほぼ終わり、 仕事を続けるためには、自分が万引きしておかなければならないので、 やがて自身が万引き犯であることが、推定されてしまいかねない。 一度身についた習慣からは、簡単に抜け出せるものではないので、 悪癖(ここでは万引き)は、貧困を脱した時にけじめをつけたかった。 正社員が、椎葉や沙希など、バイトを蔑む態度はパワハラなので、 近代国家の「法の下の平等」は、いまだに目標止まりだとしても、 努力を怠らず、正面から向き合う者は、被害者の心の扉を開かせる。
他の作品が面白く、新たなシリーズを楽しみにしていました。