産業社会・消費社会の感性を表象するスペクタクルと、そこから剥離するノスタルジアの物語ーー。モダニズムの時代に誕生し、百年の歴史を誇る宝塚歌劇団は、性差を越え、性愛の枠組みを揺るがすスペクタクルの毒と、日常のなかには求めても得られない希望や愛や信頼の物語とのセットとして、独自の進化を遂げた。その魅力を掘り下げ、宝塚の新世紀を展望する。
岩波現代文庫版まえがきーー百周年後の宝塚への関心
プロローグ 〈宝塚〉で読む近代
第一章 宝塚歌劇誕生ーー博覧会の時代
1 良家の子女が舞台に立った日
2 児童博覧会から宝塚歌劇へーー博覧会のまなざしと少年少女
第二章 「清く、正しく、美しく」の成立
1 〈欲望〉のネットワークーー鉄道から電力事業まで
2 速度の体験、透明な境界、電気の魔力ーー感性の再編
第三章 モダニズムとノスタルジア
1 エロ・グロ・ナンセンスーーレヴューの時代
2 レヴューの多様化
3 ノスタルジアという神話
4 一九三〇年代の宝塚ーー宝塚におけるドイツ学派
第四章 女を演じる女・男を演じる女ーー舞台表現とジェンダー
1 男役が生まれるまで
2 性の境界を越える男役
第五章 変貌する物語ーー宝塚の戦争と平和
1 戦中・戦後の連続と断絶
2 戦後宝塚の新しい波
3 女たちの物語ーー『エリザベート』以後
4 二十世紀宝塚論のエピローグーー宝塚というメディアの魅力
第六章 宝塚の新世紀のために
1 『宝塚の二一世紀』
2 成長しつづける歌劇
コロナ禍の宝塚歌劇日記ーー岩波現代文庫版エピローグ
註
関連略年表
あとがき
岩波現代文庫版あとがき
人名索引
レビュー(0件)