1960年代の「反芸術」から戦後日本美術の重要な美術動向である「もの派」へ、そして、ハイレッド・センターによる山手線事件、赤瀬川原平の作品を発端に社会現象にまでなった千円札裁判。1960年代から70年にかけての日本現代美術の事象を、当時の批評家や作家の実践を通して読み解く。イメージかモノかという困難で切実な問題に、当時の美術の最前線にいた作家や批評家はどう対峙したかー。
中原佑介、W.ベンヤミン、中平卓馬、李禹煥、関根伸夫、赤瀬川原平、高松次郎、中西夏之、G. バタイユ、M. デュシャン、刀根康尚、J. ケージ、森山大道、榎倉康二、栗田勇、R. モリスー。彼らの批評と実践を検証し、作品とその背景にある思考を論じる。
序章 観念と物質の乖離ーーアンチ・フォームと「もの派」
1章 イメージ批判の出発点ーー主体と客体の関係性の瓦解
2章 あらかじめ失われたものとしてのイメージ
--中原佑介「見るということの意味」
3章 事物の傷痕と離人症ーーアジェとクラインをつなぐ写真実践
4章 反芸術論争の陥穽ーー模型千円札事件公判記録1
5章 芸術概念の解体へーー模型千円札事件公判記録2
6章 芸術に啓示を与える芸術ーーいまだ実現し得ぬ何ものか
7章 無芸術のユートピアーー模型千円札からハプニングへ
8章 イメージを失くしモノと対峙するーー李禹煥の概念芸術批判
9章 カメラはなんでも写る、映ってしまうーー記憶と記録1
10章 ベンヤミン「複製技術論」を超えてーー記憶と記録2
11章 なぜ写真゠虚像に現実を感じるのか
--闇に向かってシャッターを切る榎倉康二
12章 存在の亀裂のままにーー物質との触覚的な出会いを求めて
註
あとがき
協力者一覧
初出一覧
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