人間を含めて生物のデータは様々な形式で与えられ、また誤差も大きいという特徴を持っている。このような生物データを解析するために、これまでANOVA、回帰などの古典的な統計方法をはじめとしていくつかの方法が利用されてきたが、どの統計的方法においてもその方法が仮定する制約に対して、多様な生物データが整合するかどうかは常に検討される必要があった。自分のデータに対して、選んだ統計方法は使えないのではないかという疑いは、投稿論文の査読者の指摘を待たずとも、多くの研究者自身の頭を悩ませてきた問題の1つであろう。本書は無作為化と繰り返し計算をとおしてこの問題を解決しようとする「計算統計学」の解説本である。この方法は、コンピュータによって可能となる膨大な数の繰り返し計算の結果を用いて、注目する統計量の分布を決定する。この方法を用いることによって、統計方法の仮定にデータを合わせるというよりも、データの特性に合わせて解析を行える柔軟な道が開かれた。現在のコンピュータの発達がこれを可能にしたと言えるだろう。本書はカリフォルニア州立大学リバーサイド校のDerek A. Roff教授による「Introduction to Computer-Intensive Methods of Data Analysis in Biology」の翻訳書である。最尤法、ジャックナイフ法、ブートストラップ法、無作為化法、各種平滑化法、樹木モデル、ベイズ法が、生態学をはじめとした多くの生物学研究への応用例とともに丁寧に解説されている。パッケージソフトウェアとして市販のS-PLUSを用いているが、掲載されたプログラムはほとんどの場合、フリーウェアであるRでも動くようになっている。
【原著】Introduction to Computer-Intensive Methods of Data Analysis in Biology、 by Derek A. Roff 、 Cambridge University Press
訳者まえがき
序文
第1章 計算統計学的方法へ向けて
第2章 最尤法
第3章 ジャックナイフ法
第4章 ブートストラップ法
第5章 無作為化法とモンテカルロ法
第6章 回帰法
第7章 ベイズ法
引用文献
付録A この本で使われるS-PLUSの概略
付録B S-PLUSサブルーチンの簡単な説明
付録C 本文で使われるS-PLUSプログラムコード
付録D 練習問題の解答
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