山吹の散り浮く沢に漱ぐ
美しく端正な句の姿、抑制されつつもしのびやかに匂い立つ感傷、年齢相応の瑞々しい抒情。
あらためて哲哉くんの神経の細やかさに感心した。
村上鞆彦(「南風」主宰)
第14回北斗賞の受賞作を中心に250句を纏めた第1句集
第9回百年俳句賞最優秀賞の受賞作である『掬ふ』50句からも抄出して収録
白鯉のまなぶた紅し榛の花
あふむけに車の燃ゆる薊かな
花卯木鳥の骸を鳥がつつき
角部屋に陽のありあまる林檎かな
脈透けて雪ペリカンの喉袋
眼前の自然に心身を委ねることが、ひとときの安寧をもたらす。
それは、単純な生存すら難しくなりつつある現世において
俳句を詠むという営為そのものの価値ではないだろうか。(若林哲哉)
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