間もなく開校150年を迎える北海道大学は、「少年よ大志を抱け」で知られるW・S・クラークを初代教頭に迎えた札幌農学校を始まりとする。
この第2期生に、新渡戸稲造と内村鑑三、遅れて19期生に有島武郎がいた。三人はともにクリスチャンとなり、クラークの故郷、マサチューセッツ州の大学に留学、本場のフロンティア精神を学び、晩年はそれぞれ軽井沢で過ごし、日本人の近代化精神を切り開いてきた。
新渡戸の大志は、国際平和と日米の交流を実現するため、日本の青少年教育に心身を注いだ点にあった。内村は、キリスト教が日本の風土のなかで育つのを目ざし、絶対平和主義者として非戦論を唱えた。有島は社会主義者へと転向して、札幌の農場を小作人に解放したりした。
本書は、教育者、宗教思想家、作家という一見異なる道を歩んだ三人三様の人生を、一方でクラークという人物を縦糸に、もう一方で札幌と軽井沢という地域を横糸に、それぞれの関連各地を取材しながら、ドキュメンタリーとして彼らの精神を浮かび上がらせた、異色の論評である。
第一章 もうひとつの軽井沢物語
第二章 軽井沢夏期大学
第三章 W・S・クラークの教え
第四章 パウロとヨナタン 札幌農学校の日々
第五章 ボーイズ、ビー、アンビシャス
第六章 有島武郎、わが青春の札幌
第七章 内村鑑三の「アメリカ体験」
第八章 新渡戸稲造『武士道』を書く
第九章 内村鑑三『代表的日本人』を読む
第十章 有島武郎『生れ出づる悩み』
第十一章 惜みなく愛は奪う
第十二章 カナダ、オークベイの朝
第十三章 軽井沢、星野遊学堂
第十四章 「北の星たちが伝えたこと」
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