「一帯一路」構想に顕著なように、国家としての中国を中心に、政治的・経済的に統合しようとする側面がある一方で、台湾が東南アジアとの結びつきを強めることで台湾独自の「中華」を志向するなど、分裂が際立つ側面もある。雲南省の回族の歴史を振り返ると、中国内部で中国との距離の取り方を模索する様子がみえ、香港・台湾・マレーシアなどへと拡大していく「華語語系文学」の議論からは、中華世界の統合に近づいたり分裂に傾いたりする様子がわかる。華僑華人のネットワークも、一方では中国の故郷と深く結びつく統合の側面があり、一方では居住地をハブとして故郷からさらに遠くへと拡散してゆく側面もある。
「中華世界」とはなにか。本書はその輪郭を描くものである。
序 「中華世界」-その輪郭をどう描くかー(奈倉京子)
「一帯一路」と中華世界ー東南アジアを中心にー(崔晨)
台湾と東南アジアー「南向」をめぐる現状と展望ー(玉置充子)
中華世界と中国ムスリムー雲南回族の時間・事象・社会的次元の「意味」に着目してー(首藤明和)
華語語系文学の輪郭と展望(及川茜)
華僑華人のネットワークー社会ネットワークから地域ネットワークへー(濱下武志)
補論1 中華世界とマレー世界(富沢寿勇)
補論2 中華世界と日本(濱下武志)
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