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人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。 気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。 それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。 いや、危機の解決策はある。 ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。 世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす! 【各界が絶賛!】 ■松岡正剛氏(編集工学研究所所長) 気候、マルクス、人新世。 これらを横断する経済思想が、ついに出現したね。日本はそんな才能を待っていた! ■白井聡氏(政治学者) 「マルクスへ帰れ」と人は言う。だがマルクスからどこへ行く?斎藤幸平は、その答えに誰よりも早くたどり着いた。 理論と実践の、この見事な結合に刮目せよ。 ■坂本龍一氏(音楽家) 気候危機をとめ、生活を豊かにし、余暇を増やし、格差もなくなる、そんな社会が可能だとしたら? ■水野和夫氏(経済学者) 資本主義を終わらせれば、豊かな社会がやってくる。だが、資本主義を止めなければ、歴史が終わる。常識を破る、衝撃の名著だ。 【おもな内容】 はじめにーーSDGsは「大衆のアヘン」である! 第1章:気候変動と帝国的生活様式 気候変動が文明を危機に/フロンティアの消滅ー市場と環境の二重の限界にぶつかる資本主義 第2章:気候ケインズ主義の限界 二酸化炭素排出と経済成長は切り離せない 第3章:資本主義システムでの脱成長を撃つ なぜ資本主義では脱成長は不可能なのか 第4章:「人新世」のマルクス 地球を〈コモン〉として管理する/〈コモン〉を再建するためのコミュニズム/新解釈! 進歩史観を捨てた晩年のマルクス 第5章:加速主義という現実逃避 生産力至上主義が生んだ幻想/資本の「包摂」によって無力になる私たち 第6章:欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム 貧しさの原因は資本主義 第7章:脱成長コミュニズムが世界を救う コロナ禍も「人新世」の産物/脱成長コミュニズムとは何か 第8章 気候正義という「梃子」 グローバル・サウスから世界へ おわりにーー歴史を終わらせないために 【著者略歴】 斎藤幸平(さいとう こうへい) 1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。 Karl Marx's Ecosocialism:Capital,Nature,and the Unfinished Critique of Political Economy (邦訳『大洪水の前に』)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初歴代最年少で受賞。 編著に『未来への大分岐』など。
レビュー(493件)
出口X
環境破壊はソ連でも酷かった。本書が求める出口Xは、果たして本当にあるのか。 コミュニズムがソ連、東欧で現実に失敗した、非人間的官僚制の問題に全く触れていないのは、論としてどうなんだろうと思う。アカデミズム的には、これで成り立っているのか? 環境問題は資本主義のままでは解決できないと言うのは確かだろうが、ではコミュニズムなら本当に解決できるのか。そのコミュニズムとはつまり、強権的官僚制管理社会のことではないのか。 問題の解法は、資本主義とコミュニズムの二項対立にではなく、人間の理性を過信した近代以降の人文主義、科学技術万能主義のあり方まで遡った辺りにあるのかもしれない。環境問題は、そこから始まったのだから。
息子が先生に勧められて欲しいと言われ購入。 少し前に流行ったみたいです。 私も読んでみたら良かった。
面白かった。ベストセラーになるだけのことはある。ただ、現在のひたすら成長を志向する資本主義を否定するのはいいとして、「技術の進歩など、そういうのはこれまでどおり行う」ってのはちょっと虫が良すぎるのではと感じた。
マルクスの考えは、過去のものと思っていましたが、そうでは無く、現在にも通じるとの考えが新鮮でした。
ワクワクする内容
資本主義を否定している内容ですが、とても考えさせられることが多く、とても面白く参考になる本でした。