旧大阪真田山陸軍墓地は、大阪市内にある、陸軍関係者5000基以上の墓碑と8000人分以上の分骨を納めた納骨堂を有する軍人墓地である。前著『旧真田山陸軍墓地、墓標との対話』において、戦死者だけに限らない、その埋葬者の墓標調査から、明治以来の陸軍・戦争の真実を探った。〈NPO法人旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会〉の著者たちは、墓標との真摯な対話を通じて、墓地に眠る戦死者を「英霊」の呪縛から解き放ち、彼らの真の平和への願いを明らかにしたのである。本書『軍隊と戦争の記憶ーー旧大阪真田山陸軍墓地、保存への道』において、その真摯な対話を可能にしたNPO法人の取り組みの一端が明らかになる。それは「軍隊と戦争の記憶」を風化させず、さらには未来永劫に続く平和への願いを継承するものである。「旧真田山陸軍墓地シリーズ」を手にして、ぜひ、現地を訪問されんことを願う。
第1部 墓地を知る
1 旧陸軍墓地の「発見」
2 研究会の始まりからNPO法人の設立へ
3 医学と陸軍ーー史料紹介・軍医監堀内利国の墓碑から見る明治前期の脚気対策
4 納骨堂の調査
5 調査の継続と視野の広がり
6 死者の記録=「埋葬人名簿」のデータ化から見える草創期入営者の実態
軍都大阪の形成過程ーー陸軍の創出、訓練、病気そして戦争、陸軍墓地
第2部 保存の理念を求めて
1 旧陸軍墓地保存の基本視点ーー大阪市と維新の会の動きを前に
2 陸軍墓地、保存の課題ーーなぜ?そして、どのように?
3 旧陸軍墓地を今に生かす道ーー財務省の予算措置決定を受けて
4 墓地の実相と戦後の歴史をふりかえって考える
5 20年の活動から気付くこと
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