東アジア冷戦文化の系譜学
: 越智 博美/齋藤 一/橋本 恭子/吉原 ゆかり/渡辺 直紀
文学、映画、音楽、ポップカルチャーは、冷戦という<戦争>の武器だった。ソフトパワーを兵器とした情報戦は、いかにして政治的・文化的・社会的機能を果たしたのか。
本書は、冷戦文化研究においてアメリカの影響力の色濃い韓国・台湾・日本・フィリピン・インドネシア等のインターアジアを中心に、冷戦の始まりとされる一九四五年を以前と以降に分断せず、貫戦史的な視点で文化の反復性・連続性・再活用面に注目した論集である。
序文 越智博美・齋藤一・橋本恭子・吉原ゆかり・渡辺直紀
第1部 日本
1章 新しい女性に捧げる『赤毛のアン』--村岡花子と戦後アメリカの文化政策 越智博美
2章 占領者から親しい「隣人」へーー冷戦期の日米親善と庄野潤三『ガンビア滞在記』における「アメリカ」 金志映
3章 占領期のターザン漫画における大衆的想像力の所在ーーアフリカ・原子力・メロドラマ 杉本章吾
4章 一九五四年の「死の水曜日」 齋藤一
5章 日本におけるアフリカ系アメリカ人文学受容と社会主義ーー冷戦下の反米的平和運動から第三世界へ 西田桐子
第2部 朝鮮半島
6章 デアドラ論は完成されていないーー李孝石の「緑の塔」 (一九四〇年)における失敗の諸相 金牡蘭
7章 崔載瑞の「マッカーサー」--マッカーサー表象を通じてみた、ある親日エリートの解放前後 鄭鍾賢(渡辺直紀・訳)
8章 冷戦と援助の力学、韓国冷戦文化の政治性とアジア的地平 李奉範(金景彩・訳)
9章 白鉄の「新批評」前後、韓国現代文学批評理論の冷戦的様相 黄・鎬徳(相川拓也・訳)
第3部 台湾
10章 「米国広報・文化交流局」(USIS)と台湾文学史の書き換えーーアメリカ援助体制下の台湾・香港における雑誌出版の考察を中心に 陳健忠(橋本恭子・監訳 白井魁・訳)
11章 東西冷戦下の台湾における「中国派」比較文学の誕生ーー中華文化復興運動と台米関係の視点から 橋本恭子
第4部 インターアジア
12章 東アジア的モダニズムをめぐって 佐野正人
13章 林語堂、 「東洋」と「知恵」の政治性ーー一九五〇〜六〇年代韓国における林語堂ブームと「二つの中国」 権ボ ド ゥ レ(李珠姫・訳)
14章 近代/中国/女性、一九四〇〜六〇年代韓国の中国認識ーー韓国における謝冰瑩自伝の受容史を中心に 崔珍碩(金景彩・訳)
15章 アジア財団の映画プロジェクトと一九五〇年代アジアの文化冷戦 サ ン ジ ュ ン・リー(渡辺直紀・訳)
16章 戒厳令下のコミックスーー一九七〇年代フィリピンにおける「新しい社会」と国語/文学 南隆太
17章 一九四五年を跨境する文学・文化の地政学ーーN・V・M・ゴンザーレスの環太平洋・インターアジア旅程 吉原ゆかり
18章 六八革命と東アジアーー思想・言説連環の冷戦的文脈 渡辺直紀
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