英国初期印刷本(1475〜1640年)の出版時、現代とは異なる本文意識、著者意識のもと、読者代表としての印刷家(植字工)による本文介入が行われ、テクストは活字により固定化されていった。
『アーサーの死』・『セントオルバンズの書』・『トロイルスとクリセイデ』など10の実例をとおし、タイトルページの変遷、版の違い、本文異同と派生などを丹念に検討し、書誌学の立場から分析・解明する。
作者ー印刷家ー読者の間で揺れるイギリス印刷黎明期の作品テクストの分析から、文学・文化・歴史研究の新たな領域をひらく快著。
はじめに 振り向けば未来ー中世の本文意識
第1章 写本アンソロジーから刊本合冊本へー著者意識と「作品集」の誕生
第2章 タイトルページの変容ー出版がサイオン修道院の壁を超える 『良心の訓令集』(The Directory of Conscience, 1527年・1534?年)考察
第3章 標題『アーサーの死』(Le Morte Darthur)の謎ーW. コープランド版(1557年)を探る
第4章 領有されるテクストーThe Book of St. Albans(1486年)とThe Gentlemans Academie(1595年)
第5章 編者の読みとテクスト固定ー空白のフォリオ番号から読むW. シン版(1532年)トロイルス物語
第6章 印刷家と作者の協働ー『完徳への巡礼』(Pylgrimage of Perfeccyon, 1526年・1531年)考察
第7章 初期印刷本期のテクスト編集ーチョーサーのR. ピンソン版(1526?年)『鳥たちの議会』
第8章 キャクストン版『アーサーの死』(1485年)と印刷用原稿のゆくえ
第9章 ド・ウォード版マロリー(1498年)の本文挿入と奥書ー読みのずらしと作品受容
第10章 W. スタンズビー版マロリー『アーサーの死』(1634年)-本文から序文を読みなおす
注
図版出典一覧と再掲の謝辞
文献案内
初出一覧
あとがき
索引
人名・作品名索引
事項索引
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