あのころのフランス文学科を愛する人たちへ!今は人気に翳りが見られるフランス文学科(仏文科)だが、70年代前半にはとても元気だった。あの頃の文学好きな若者たちはみな競い合ってサルトル、カミュを読み、ボードレールやランボーを気取ったものだ。スタンダール、バルザック、フローベール、ゾラなど当時人気があった文学者を列挙するときりがない。しかしこういうことにも流行りというものがあって、ヴァレリーやマラルメなど象徴派の詩人たち、プルーストの時間論を内包した長大小説、ロラン・バルトの記号学に基づいた評論などがとりわけ人気を集めていた。いやシュルレアリスムの系譜やヌーヴォーロマン派も攻撃的に自己主張していて忘れてはならない存在だった。そんな熱に浮かされたようなフランス文学科で「ぼく」はひとりの美しい女性に出会い、恋をした。その恋はすぐに片思いに終わるのだが、人生とは不可解なもので振られた後に「ぼく」は彼女とともに海辺の町でひと夏を過ごす。しかし彼女はその2年後、卒業を前に病に斃れ早世する。その死から44年を経て、漸く書いたレクイエムが本書である。
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