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乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できる。しかし学校では多くの子どもたちが学力不振に陥り、学ぶ意欲を失ってしまう。なぜ子どもたちはもともと持っている「学ぶ力」を、学校で発揮できないのか。「生きた知識」を身につけるにはどうしたらよいのか。躓きの原因を認知科学が明らかにして、回復への希望をひらく。 はじめに 第1部 算数ができない、読解ができないという現状から 第1章 小学生と中学生は算数文章題をどう解いているか 1 算数文章題につまずく小学生 2 小学生の算数文章題につまずく中学生 3「意味の不理解」が引き継がれる 第2章 大人たちの誤った認識 1 テストと学力についての誤認識 2 知識についての誤認識 3 スキーマなしでは学習できない 第3章 学びの躓きの原因を診断するためのテスト 1 「たつじんテスト」の開発まで 2 「たつじんテスト」は思考力を測る 3 点数をつけるよりも大事なこと 第2部 学力困難の原因を解明する 第4章 数につまずく 1 「数」はモノを数えるためにあるわけではない 2 分数というエイリアン 3 かけ算・割り算の意味がわからない 第5章 読解につまずく 1 「読める」とはどういうことか 2 問題文を理解するための語彙が足りない 3 単位、時間、空間のことばを理解できない 4 行間を埋めるための推論ができない 第6章思考につまずく 1 認知処理の負荷に押しつぶされる 2 状況に応じた視点の変更ができない 3 パーツの統合ができない 4 モニタリングと修正ができない 第3部 学ぶ力と意欲の回復への道筋 第7章学校で育てなければならない力ーー記号接地と学ぶ意欲 1 生成AIと記号接地 2 子どもはどのように記号接地しているのだろうか? 3 アブダクション推論とブートストラッピング 4 自走できる学び手へ 第8章 記号接地を助けるプレイフル・ラーニング 1 プレイフル・ラーニングの考え方 2 時間概念の記号接地ーープレイフル・ラーニングの実践1 3 分数概念の記号接地ーープレイフル・ラーニングの実践2 4 知識を身体化できるのは学び手のみ 終章 生成AIの時代の子どもの学びと教育 参考文献 図版出典一覧 あとがき
レビュー(69件)
一人一台端末が配備された小中学生の学習態度や学力に疑問を持っていました。子どもたちの日ごろの会話を聞いているだけでも精神年齢の幼さを感じていましたが、本を読み進めるとその疑問が解けていくようです。 日本語教育に関心があるので勉強中ですが、言語学の先生らしく母語としての日本語習得についてもわかりやすく言及してくださっているので、読んでいて「日本語」という言語に対してますます興味が湧きました。
大学生の講義に基礎数学という科目があり、そこで分数の計算を教えていることに衝撃を受けたことがあります。 学校のレベル云々は別にして、小学校の算数で躓いている学生が大学生になるまで克服できずにいるのは、なぜなのかという疑問が、著者の認知科学からの洞察から理解することができました。 また、日本人による英語学習が難しい理由なども納得感を得られました。
内容に興味を持ち購入しました。現実を知るとおどろきました。